はじめに

今、日本ではテレビやネット、あらゆるところで自殺の話題を耳にします。有名人が自殺を行い、将来ある学生が自ら命を断ち、失業した方が線路へ身を投げる。毎日のように痛ましい報道が続いております。

日本は世界的に自殺が多く、2020年のWHOの調査結果では世界7位の自殺率で、先進国内では韓国に次ぐ世界2番目の国となっております。

特に最近はコロナ禍の影響もあり、2020年10月の日本の自殺者数は前年同月比で約1.4倍に増えております。

突然の失業など、コロナウイルスをきっかけに、自殺はますます身近に起こりうる問題となってしまいました。また、自殺に至らずとも、大切な人が大きな悩みを抱えている可能性がございます。

ご覧の方の中にも、周囲に心配な方がいらっしゃる方や 、もしも大切な方が自殺をしてしまったら…と不安になっている方もいらっしゃるかと思います。

私たち「カツドウ」は、つらい思いを抱えたまま、誰にも言い出せずに働いている人たちに、職場のお悩み相談や、退職後の生活の不安をなくす給付金の申請サポート、再就職のサポートなどを通じて、働く人の前向きな再出発のお手伝いをしている団体です。

私たちのサービスを利用される方の中にも、「自殺を考えていた」「もう死にたい」と言う方は少なくなく、自殺に関するニュースを他人事だと思うことができません。

そこで私たちは、自ら命を断つ人たちが増えていく今の流れに少しでも歯止めをかけるために、自殺防止キャンペーン「マンデー・モーニング・プロジェクト」をスタートさせることにしました。

内容は「毎週月曜日の朝、3人の人にちょっとした声かけをしよう」というシンプルなものです。このちょっとした声かけが自殺防止の効果があることは、あらゆる研究調査において、証明されております。

自身が大切な方に直接声をかけることはもちろん、声かけの輪が広がることで、皆様の大切な人が困っているときに、親切な方が声をかけてくれる。

そんな安心できるやさしい社会になれば、悩んで自殺する人をなくしていけるのではないかと考え、この運動に取り組んでおります。

自殺問題に詳しい精神科医の松本 俊彦氏は、「死にたいというメッセージは、苦痛がなければ生きたいというメッセージの裏返しだ」と言います。

私たちの周りにも、過去には仕事がつらくて自殺を考えたものの、今は前向きにお仕事[PP3] をされている方がたくさんいらっしゃいます。

彼らは「支えてくれた人がいたことで、生きる道を選ぶことができた」とおっしゃってくださいました。

この記事は「自殺」を選んでしまう原因や、大切な人を「もう死にたい」から守るためにできることについて、お話しできればと思います。

自殺をなくし、1人でも多くの方が「生きる道」を選んでいただけるきっかけになれればと思います。

「つらくても、人に助けを求められない」
ことから自殺が起きる

自殺に関する報道では、「前の日までは元気だった」「なぜ、あの人が・・・」という声を耳にします。最後まで一人で苦しんでいたと考えると胸の痛くなる思いです。

精神科医の松本 俊彦氏 は、自殺を考えてしまう方には、つらくても人に助けを求めることができないという共通点があるといいます。

これまで自殺を考えたことがある方にお話をうかがうと、様々な理由により、悩みをひとりで抱えてしまっておられました。

たとえば、

  • 上司に相談をしたが、一方的に叱責されてしまい、より居づらくなった
  • 昇進に対し、耐え難いプレッシャーを感じていた。しかし、喜ぶだけの家族や同僚には相談できなかった

など、相談したことでより苦しくなった経験や、周囲との感じ方の違いから、相談しても意味がないと考えてしまったとおっしゃっていました。

また、

  • ドクターストップがかかっていても、仕事を投げ出すことは悪だと考え、退職を言い出せない
  • 家族に相談しても、心配をかけるだけ。心配をかけるのは夫として情けないこと[PP6] だと思っている
  • 「もっとつらい人はいるのに、自分の悩みなんて・・・」と悩んでいる自分を否定してしまう

など、過度な責任感から、問題を抱え込んでしまう方もいらっしゃいます。

これらが積み重なることで、やがて心身ともに疲れていくと、「自分なんていない方がいい」と思うようになってしまいます。

その先にあるのが自殺という選択です。

「死ぬくらいなら、会社を辞めればいい」「死ぬ気になれば、何でもできる」

世の中にはそのようなお声もございます。

しかし、解決が難しい悩みや、誰にも相談できない悩みを抱え続けると、気持ちがすり減り、視野がどんどん狭くなっていき、正常な判断ができません。

そんな時、自殺は、まるで唯一の救済方法のように思えてしまうのだといいます。

「死ぬ気になれば、死ぬしかなくなるんですよ」

そうおっしゃっていたのが、印象的でした。

大切な人を自殺から守るためにできること

では、どうすれば、大切な人を自殺から守ることができるのでしょうか。

身の回りで、自殺が起きないように、私たちにできることは何でしょうか。

私たちは「心配な方がいたら、勇気を出して声をかけること」、「私で良ければ、いつでも受け入れる」と示し続けることで、自殺から守ることができると考えております。

自殺に関する研究で、世界的に有名なゴールデンゲートブリッジの事例があります。

1937年から1971年の間に、アメリカの自殺の名所であるゴールデンゲートブリッジで自殺をしようとした方に対し、通りかかった方が説得して自殺をとりやめさせることがありました。

自殺をとりやめた後、彼らは再び自殺をせずに生きているのかを追跡しています。

結果は驚くべきことに、対象者の約94%が自殺をせずに生きている、もしくは自然死など自殺以外の要因で亡くなっておられました。

たった一言の声かけが、その場の自殺を止めただけでなく、その後もずっと自殺から守り続けたのです。

また、ここでもうひとつ注目したいのは、通行人は声をかけて説得こそしましたが、失業者に仕事を紹介したり病気を治したりして、悩みを解決したわけではないことです。

このことから、悩みを解決することも大切ですが、それ以上に勇気をもって声をかけることが、死にたいという気持ちへの何よりの特効薬になるのではないかと考えます。

気にかけてくれる人がいる、安心して頼れる存在がいると伝わるだけで、一人で悩みをかかえなくてすみます。

勇気ある一言が、大切な友人を支えた事例

以前、私たちのもとに「友だちが心配です」とご相談をいただいたことがありました。

仕事に悩んでいる様でしたが、どう声をかけていいかわからないといいます。

相談者の方と話し合った末、「身近な方のあたたかい言葉に勝るものはない」とお伝えさせていただいたところ、勇気をふりしぼって声をかけてくださいました。その結果、ご友人から相談者の方へ、少しずつ悩みを打ち明けてくれるようになりました。

そのことで、職場で大きなトラブルを抱えていらっしゃることがわかり、最終的には、カツドウにおつなぎいただき、解決のお手伝いをさせていただくことになります。

当初、悩んでいたご本人は、「死んでしまいたいほどつらいけど、この悩みは理解してもらえない。相談しても迷惑なだけだ。」と考えていたといいます。

しかし、心配こそかけてしまったかもしれませんが、ただただ話を聞いて受け入れてくれた友人がいたことで、「自分を思いやってくれる人もいる」「悩みは相談してもいいんだ」と気づくことができたそうです。

このとき、今まで感じたことのない幸せを感じたとおっしゃいます。

「今も時々つらいことがあるけど、もう死のうなんて思わない。」

そうおっしゃっておられたのが印象的でした。

現在はつらかった職場を離れ、周囲の支えのもと再就職活動に励まれています。

このように、ただ話を聞くだけで、救われる方はたくさんいらっしゃいます。

その際は、自身の意見を押し付けたり、悩んでいる方の考えを否定したりせず、ただ受け入れることが安心につながるようです。

もしかすると、力になれる自信がなくて、声をかけづらいこともあるかもしれません。実際に、お悩みの方が、自分たちでは解決がむずかしい問題をかかえていらっしゃることもございます。

その時は、周囲の人にも相談をもちかけたり、病院についていったり、「相談できる窓口があるよ」と伝えるなど、自分のできる範囲で背中を押すだけでも十分有効です。

大切なことは、問題を解決することではありません。勇気あるほんの一言が、自殺から救い出すこともございます。

自殺のない社会を作る、
マンデー・モーニング・プロジェクト

これらのことから、私たちカツドウは、勇気ある一声をかけ、悩んでいる本人の気持ちに寄りそえる方が1人でも増えることで、自殺の問題は解決に向かうのではないかと考えます。

今回カツドウがスタートさせる「マンデー・モーニング・プロジェクト」は、そのためのはじめの一歩をふみ出すためのキャンペーンです。

たとえば家族や地域、会社であいさつをしてみる。相手の様子がいつもと違っていたら「最近眠れてる?」「何かあった?」など、もう一歩踏み込んだ声かけをしてみる。

このような声かけを、毎週月曜日の朝、3人の方に行ってみようというものです。

日本財団の調査結果でも、誰かと電話やメールをしたり、親しい人に会うだけでも、死にたい気持ちが和らぐという報告もございます。

もちろん、最終的な問題の解決には、 専門的なサポートを必要とすることもあるかもしれません。しかし、そのはじまりは、誰かの優しい一言です。

また、早稲田大学の調査によると、1週間の中で自殺が最も多いのは月曜日の朝だといいます。1週間のはじまりで気持ちが暗くなってしまう中、こうしたちょっとした声かけが自殺防止の小さな一歩になるのではないかと、私たちは考えます。

毎日だと大変かもしれませんが、1週間に1回からであれば、取り組みやすいかと思います。

様々な形での参加方法・取り組み方法をご用意させていただいておりますので、ぜひ、ご参加いただけますと幸いです。

【マンデー・モーニング・プロジェクト―大切な人を自殺から守るために―】

<バナーや簡単なパンフレットを貼る(以下、内容)>

―家族でー

・家族そろって、一緒に朝食を食べよう

・「行ってらっしゃい!」「行ってきます!」と気持ちよく送りだそう

・様子が違ったら、「よく眠れた?」「調子はどう?」と話しかけてみよう

―街中で―

・駅のホームで心配な人がいたら、「大丈夫ですか」と声をかけてみよう

・・・・

―職場で―

・いつもと様子が違う人がいたら、声をかけてみよう。ランチに誘ってみよう。

・悩んでいる方の友人や上司の方にも相談してみよう

―ふとした時に―

・最近会っていない友人に、電話やLINEを送ってみよう

・お土産や、差し入れを持っていってあげよう

・・・・等

<参加方法>

・日々の中で、上記のような声かけにとりくまれてください

・SNSでハッシュタグ(#********)つけて、意気込みや取り組みをシェアしてください

・HP等にバナーを掲載ください。その後ご連絡いただけましたら、記事内で掲載させていただきます。

<運用方法>

・下記の各SNSにて、毎週月曜日に参加のお声がけをさせていただきます。ぜひ、フォローをお願いします。

・SNSに投稿いただいた活動報告や、直接ご連絡いただいた活動報告は、

事前承認のもと、本記事や下記SNSアカウントにて掲載させていただきます。

・本取り組みにご賛同・協力いただける企業や団体様、医師や弁護士などの専門家の方がいらっしゃいましたら、下記お問い合わせフォームにて、お気軽にご連絡ください。皆様のお知恵をお借りして、より良い取り組みに発展させていければと考えております。

お問い合わせはこちら

「悩むことは恥ずかしいことじゃない」

「あなたに手を差し伸べたいと思っている人はいる」

「あなたはひとりじゃない」

一人でも多くの人にそのことを伝えるために、ぜひ皆さんの力をお貸しいただければ幸いです。

よくある質問

Q1ひとこと声をかけるだけで、自殺問題は解決可能なのでしょうか

→最終的な問題の解決には、専門的なサポートを必要とするかもしれません。

しかし、お悩みの方が誰にも言い出せず、周囲の方も誰も声をかけられないとなると、状況はより深刻になっていく可能性があります。

まずは、その状況を打開し、安心感を感じたり、悩みをお話しできる状態であることが大切かと考えております。

Q2なぜ週に1回なのでしょうか

私たちも、心配な方を見かけたら、キャンペーンに関わらずにその場でお声がけいただくのが最も良いかと思います。

ぜひ、ご心配な方がいらっしゃる場合は、お声がけいただけますと幸いです。

一方で、「自身の大切な人を、いつも気にかけてくれる人がいる」という社会になることで、自殺抑止はもちろん、安心して暮らしていける社会になるかと思います。

本キャンペーンは、自殺問題が起きない優しい社会を目指すことをビジョンにかかげております。

Q3なかなか話しかける勇気がでません

おっしゃるお気持ちお察しします。

そのために、SNSなどで実施の様子を共有させていただくなど、みんなでチャレンジができる、参加型のプロジェクトにさせていただきました。

「難しいけど、良い取り組みと思う」とお考えの場合は、SNSなどでシェアしていただくだけでも構いません。

その取り組みを知った誰かが、あなたの大切な人に声をかけてくださる可能性もございます。

Q4「私を自殺志願者だと思っているのか」と怒られはしないでしょうか。

悩んでいる前提でお話をされると、構えてしまったり、ついムッとされるかたもいらっしゃるかもしれません。

ですので、ちょっとした挨拶や、しばらく会っていない友人への電話、目的のないお茶にお誘いするだけでも良いのではないでしょうか。

その時は相談いただけなくとも、悩みを忘れられたり、ある時に悩みを打ち明けてくれるようになるかもしれません。

Q5相談をいただけるようになりましたが、悩みを解決する方法が思い浮かびません

まず、あなたに相談できるだけでも、痛みは和らいでいるかと思います。

「問題の解決は難しくても、話を聞くことはできるよ。」

と、できることの範囲内で、友人を支えるだけでも十分自殺の抑止力になりえます。

また、お悩みの方と共に、下部の「自殺に関する相談窓口」への相談もご検討ください。

参考文献・資料

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自殺にまつわる相談窓口

命のホットライン など

賛同企業一覧

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本件に関するお問い合わせ

こちらのメールフォームよりお問い合わせください。